猫バスが走りそうなバス専用道路
今週に入ってから、真冬に戻ったような天気が続いていますけど…。それでも、毎年温暖化を肌で感じることがあります。そののひとつが、梅や桜の見頃の時期が年々早くなっていること。
私は、数年前まで、春分の日には、奈良県西吉野村(2005年に五條市に合併されて、その名前はなくなった)の賀名生(あのう)梅林に出かけていました。見頃は、いつも春分の日前後だったのに、最近は、やっぱり少し早くなってきています。久しぶりに出かけた今年は、すでに見頃は過ぎ、観光客もほとんどいませんでした。かろうじて残っていた花も、昨晩の雨ですっかり無くなってしまったのかも。それでも、ところどころは、頑張って咲いている木もあり、しーんとした寂しい山の中で、名残の梅をまあまあ、楽しむことはできました(上の写真)。桜も咲いてましたよ(下の写真)。
それにしても、「ワサビとるな」の看板がそこらじゅうにあるんだけど、初めてこれを見たとき、「これワサビなんやあ!!」とびっくりして、まじまじ見てしまった。この看板のせいで、ワサビの存在を知って盗って行っちゃう人いるんじゃないかなあ…
梅林は、小高い山を巡る、約5キロの周遊道路になっていて、見頃のときに山の上から見下ろすと、谷一面が梅に覆われ、目の前一面が梅、梅、梅。いい香りが風とともに、舞い上がって体を包みます。観光客のほとんどは、こんな山の上まで来ないので、この谷の美しさを独り占めできます。初めてその光景に出くわしたときは、感動のあまり涙ぐんでしまいましたよ。なんで、誰も見に来ないんだろうと不思議にも思いましたが、驚くほどきれいな景色は、日本各所に、こうやって普通にあるんですよね。
その梅林に毎年出かけた理由は、その美しさが忘れられなくて、というのも一つですが、実は、梅林がおまけといってもいいぐらい、私をひきつけていた理由があったんです。それは、「幻の五新線跡を走るバス路線、阪本線」に乗ること。
通常、あのう梅林には、近鉄の八木駅から、国道168号を通る奈良交通の特急バス、新宮行きという、とてつもなく長い距離を走る路線バスに乗れば、車窓を楽しんでいるうちに、約2時間くらいで着きます。降りるのは、賀名生和田北口停。途中、「五条バスセンター」で、10分ほど、休憩があるんですよ。バスを降りてトイレに行ってもいいし、そのへんプラプラ歩いてもいいんですけど、毎回思うのは、このまま乗車賃を払わないで、逃げてしまう人いるんじゃないのかしら。まあ、乗客のほとんどは、梅の季節以外、日本のチベットといわれる、秘境・十津川温泉まで行く人だから、そんな人いないし、気にしないのかなあ。写真は、休憩する、奈良交通特急バス。
で、あるとき地図を見ていると、五条近辺から、不自然にまっすぐ延びる「バス専用道路」というのを見つけて、「なんだこれ?????」と思ったのが、「JRバス阪本線」との出会いでした。
鉄道未成線を利用して、バス専用道路を走るバスとして、バスマニアの間では有名すぎるほど有名らしいけれど、そうでない人には、奈良県民でさえも知らなかったバス路線。写真は、バス専用道路の入り口。
ちなみに、ここを走る予定だった鉄道は、「幻の五新線」とも呼ばれ、1939年に国鉄が建設に着手したもの。1959年に国鉄五條駅から西吉野村城戸(現・五條市西吉野町城戸)まで路盤が完成したものの、採算が見込めないことから、結局列車が走ることなく計画は断念されたそうです。その様子は、河瀬直美監督の映画「萌の朱雀」でも取り上げられていて、西吉野村が舞台になっています。その後、五条 - 城戸間は国鉄・JRバス専用道路として西日本JRバスが運行していました。
これがまた、映画のセットかと思われるような光景でした。バスの車体ほどしかない道路いっぱいに、かなりオンボロなバスが、がたごと揺れながら、たんぼの中のまっすぐなバス専用道路をブンブン走る姿は、まるで猫バス。梅の見頃であっても、乗客は数人。地元の人が買い物や病院帰りに利用しているぐらいだったなあ。バスの運転手さんも乗客も皆顔見知り。地元の人が降りた後、乗客は、私一人ということも多かったので、運転手さんが、親切にも、景色のいいところでは、スピードを落としてくれたり、「この先がきれいやで」と教えてくれたり、なんとも温かいバスだったのです。
このバスに乗るためだけに、梅の季節以外にも、何回か西吉野村に訪れたこともあります。一般車が迷って入り込んで、バスに追いかけられて泣きながら(?)お尻ふりふり、逃げていったり、逆に、地元のヤンキーが、単車でバスをあおって走行妨害したり。写真は、賀名生駅
しかし、あまりの乗客の少なさ、すぐそば、というか平行して走っている国道168号に奈良交通の新宮線があるから、なくなってもいいやん、という理由で、2002年10月、JRバスは撤退。バス路線自体廃止という話もあったのですが、地元住民の反対で、西吉野村が委託を受ける形で、奈良交通バスがその路線を走ることになりました。こぎれいな奈良交通の車体が走るようになったら、なんか興ざめだなあ、と心配していたんですけど、奈良交通になっても、運転手さんの親切さ、ほのぼのとした雰囲気は同じで、このバスに乗るのが本当に楽しみでした。どこか、この世のものではないというと失礼なんですが、現実離れしたおとぎの国に迷い込んだような気分になったものです。途中何個かトンネルがあります。写真のは短いけれど、長~いトンネルに入ると、「ここを出たら、どこか知らない国や時代に行ってしまうんじゃないかしら」と思うよなワクワク感がありました。
今年、久しぶりに阪本線に乗ろうとして時刻表を調べて驚きました。2008年3月には、土休日は早朝の1往復だけとなっている。ええっ。あのバスに乗ろうとしたら、平日に行くしかないのか…。残念ながら、この日は、奈良交通バスで梅林に出かけて、阪本線のバス停の写真を撮るだけにしました。たまに、五条市主催で、このバス路線を歩けるウオーキングイベントが開催されるらしいんですけど、それほど観光資源にしようなんて気は、さらさらなさそうだし。そのうち廃止されてしまうのかもしれませんね。
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コメント
私好みのええ感じのところですねぇ~f(^^;)
ところで、ど田舎ではバスがワゴン車だったりすることがあったりします。
どうしても採算会わないならワゴン車バスで良いから、末永く続けて欲しいっすねぇ~。
投稿: man | 2009年3月26日 (木) 21時40分